賃貸か持ち家かは「流動性を300万円で買うかどうか」だと気づいた話

記録

家を買うかどうか考え始めたとき、よく見かけたのがこの言い方だった。

「賃貸は10年で1,000万円を捨てている」

分かりやすい。
でも、どこか引っかかった。

本当にそんな単純な話だろうか。

この記事の前に考えたことはこちら≫
住宅ローンシミュレーションをして、逆に不安になった話

「賃貸=捨て金」「分譲=資産」は正確ではない

まず気づいたのは、分譲にも確実に資産にならないお金があるということだった。

分譲でも「戻らない支出」は発生する

・管理費
・修繕積立金
・固定資産税
・ローン利息
・契約時の諸経費

これらは、どれだけ払っても資産としては残らない。

つまり「賃貸は全部捨て金、分譲は全部資産」という構図自体が、正確とは言えないと感じた。

今回の比較条件

数字を感覚で語りたくなかったので、条件をそろえて比較してみた。

賃貸の条件

賃料(管理費込み):月10万円

購入の条件

物件価格:3,000万円
借入額:2,000万円
金利:1.0%(変動・概算)

※管理費・修繕積立金・固定資産税・利息は「資産にならない支出」として合算する。

10年で比較してみた

賃貸(10年)

月10万円 × 12か月 × 10年
合計:約1,200万円

分譲(10年)

管理費+修繕積立金:約360万円
固定資産税:約150万円
ローン利息(10年分・1.0%):約100万円
合計:約610万円

この時点での差は、約590万円。

忘れてはいけない「購入時の諸経費」

ここで、ひとつ大事な事実がある。

分譲は、購入時に仲介手数料・登記費用・ローン手数料などの諸経費がかかる。

諸経費は最初に確実に出ていく

物件価格3,000万円の場合、約8〜10%、つまり250〜300万円が一般的。

これは

・資産にならない
・原則戻らない
・一括で出ていく

完全に「捨て金」だ。

諸経費を含めると、10年の差はどうなるか

・もともとの差:約590万円
・購入時諸経費:約300万円

これらを合算すると、分譲側の「資産にならない支出」は約890万円になる。

一方、賃貸は10年で約1,200万円。

その結果、差は約300万円程度まで縮まった。

つまり私は、10年で約300万円を払って「賃貸の流動性」を買っている状態だった。

20年で見ると、構造がはっきりする

賃貸(20年)

月10万円 × 12か月 × 20年
合計:約2,400万円

分譲(20年)

管理費+修繕積立金:約720万円
固定資産税:約300万円
ローン利息(20年分・1.0%):約210万円
購入時諸経費:約300万円
合計:約1,530万円

賃貸との差は、約870万円。

時間が長くなるほど、購入時諸経費の影響は相対的に小さくなる。

ローン利息も「捨て金」ではある

借入2,000万円・金利1.0%・20年の場合、利息総額は約210万円。

これは確かに捨て金だ。ただし、

賃貸 分譲
・支払額の100%が捨て金 ・元本返済分は資産
・利息・維持費だけが捨て金

利息を含めても、分譲の方が捨て金は少ない構造だった。

ここで、視点が切り替わった

数字を積み上げていくうちに、気づいたことがある。

私は「どっちが得か」を選んでいるのではなく、「どんな価値にお金を払っているのか」を選んでいた。

私は、300万円で「流動性」を買っていた

整理すると、こうなる。

賃貸 分譲
・いつでも動ける
・大きなリスクを持たない
・その代わり、毎月“保険料”を払う
・住まいの安定性とコントロールを得る
・流動性を一部手放す

損か得かではなく、価値の交換だった。

後悔しやすいのは、どちらか?

長期的に残りやすい後悔は、「やった後悔」より「やらなかった後悔」。

私の場合、

・年齢
・借入額は抑えめ
・頭金あり

この条件で買わなかったとき、

・年齢や市況で、もう選べなくなる
・条件が良かった時期は取り戻せない

構造的に、後悔しやすいのは「買わなかった場合」と思われる。

決断に関わりそうな価値観

私は、保険否定派である。
賃貸の流動性は、起きるか分からないリスクへの保険。
10年で300万円を払い続けるのは、自分の思想と合ってはいない。

ここは、今後決断に関わってきそうだ。

今回、細かい数字を出したことで、1000万を捨てているのではなく、300万で流動性という価値を買っているということに気づいた。

一応私は、

・実家という最終セーフティ
・売却・賃貸という出口も残している

無防備ではなく、リスク分散型だ。

まとめ

  • 賃貸と分譲は「得か損か」の話ではない
  • 「賃貸は、10年の流動性を約300万円で買うかどうか」ということ

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家の話になると、なぜこんなに疲れるのか

※この記事は「住宅検討ログシリーズ」の一部です。
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