― 賃貸派だった私が、住まいを現実として見始めた話 ―
私は、ずっと賃貸派だった。
なぜなら、通勤時間がこの世で一番いらない時間だと思っていたからだ。
独身の頃は、職場が変われば徒歩圏内に引っ越す生活。
気づけば引っ越し回数は10回ほど。しかも、すべて自己都合だった。
結婚してからも、その価値観は変わらなかった。
「職場が変われば、また引っ越せばいい」そう思っていた。
さらに、コロナ禍をきっかけに在宅勤務が増え、通勤そのものの比重はますます下がった。
家は「拠点」というより、仕事と生活を一時的に受け止める場所。
そういう感覚で、賃貸という選択を疑ったことはなかった。
でも、子どもが生まれてから、状況は一気に変わった。
40代になって、急に家のことが現実になった
子どもが生まれると、「保育園」がくっついてくる。
働きながら探して、入れるかどうかを気にして、転園のリスクを考える。
そうなると、引っ越し先は自然と市内限定になる。
最初の居住地は、正直「なんとなく」で決めてしまった。
でも、こんなにも簡単に動けなくなるとは思っていなかった。
さらに追い打ちをかけたのが、物価の上昇だった。
家賃、光熱費、食費。
「少しずつ」ではなく、確実に上がっている感覚。
そんな中で耳にしたのが、日本では持ち家比率が高く、政策もマジョリティ向けに打たれやすい、という話だった。
それまで「まだ先」と思っていた住まいの話が、40代になって、急に現実の問題として立ち上がってきた。
最初は、夫名義で買うものだと思っていた
正直に言うと、家は「夫名義で買うもの」だと思っていた。
特別な理由があったわけではない。
周りを見ても、ほとんどがそうだったから。
新婚の頃、夫と一緒に建売を見に行ったこともある。
「夫単独ローンだと、これくらいだね」そんな話をしながら。
ただ、当時見ていた価格帯の建売は、昔の家を無理やり二軒に分けたような区画が多く、将来売りやすいとは思えなかった。
結果的に、条件に合った平屋の賃貸を見つけ、家購入の話はいったん終わったものになった。
そして今。
夫の収入は、長期的な安定が見通せる状況とは言えず、住宅ローンを組むのは現実的ではない。
私の周りを見ても、妻単独名義で家を持っている人はいない。
それでも、「夫名義が当たり前」という前提は、少しずつ揺らぎ始めていた。
それでも「単独名義」を考え始めた理由
子どもが中学を卒業するまで、あと10年。
この間は、できれば居住地を動かしたくない。
そう考えたとき、「この10年分の家賃をどう捉えるか」という視点が、自分の中で初めて浮かんできた。
今の家賃をもとに、ざっと計算してみると、10年間で支払う家賃はおよそ1000万円になる。
この数字を見たとき、それはもう「ただの月額」には見えなかった。
私が選び続けた結果として、静かに積み上がっていく金額に感じられた。
もうひとつ、考えないわけにはいかなかったのが、「この先、何が起きるかは分からない」という現実だった。
離婚するつもりがあるわけでも、何か問題を抱えているわけでもない。
ただ、40代になって思うのは、人生は想定外のことのほうが多い、ということ。
住宅ローンや名義の問題は、夫婦関係が順調なときほど考えにくい。
でも、何かあったときに「知らなかった」では済まない仕組みでもある。
もし万一、家族のかたちが変わったとき、住む場所まで一気に不安定になるのは避けたい。そう考えるようになった。
正直、怖さのほうが大きかった
40代でローンを組むこと。
この判断が本当に現実的なのか。
今の収入で、最後まで払い切れるのか。
「本当に払い続けられる?」「途中で何か起きたら?」そんな問いが、何度も頭に浮かんだ。
賃貸なら、状況が変われば出ていける。
身軽さは、ずっと私の安心材料だった。
一方で、家を買うという選択は、簡単には引き返せないという怖さがある。
でも同時に、考えないまま時間が過ぎていくこと自体が、別のリスクなのではないか、とも思い始めていた。
10年後も、今と同じ条件で住めている保証はない。
その現実から目をそらし続けるほうが、実は一番無防備なのではないか。
怖さが消えたわけではない。
ただ、「怖いから考えない」より「怖さを含めて考える」ほうを選びたくなった。
まだ答えは出ていない
だからといって、すぐに家を買うと決めたわけではない。
単独名義が正解だとも、まだ思っていない。
ただ、これまで「先の話」として遠ざけてきたことが、40代になって、具体的な数字と条件をともなって目の前に現れただけだ。
このブログでは、そのときどきに考えたことや、調べたこと、迷ったことを、ひとつずつ書き残していこうと思う。
これは、何かを決めるための記録というより、「考え始めたこと」そのもののログだ。
答えは、まだ出ていない。
この記事のまとめ
- もともとは賃貸を前提とし、住まいを固定する発想は持っていなかった
- 子どもと年齢をきっかけに、居住の自由度が現実的に下がった
- 家賃を「10年で約1,000万円」という累積コストとして意識し始めた
- 夫名義を前提としていた考え方が、状況によって揺らぎ始めた
- 単独名義は結論ではなく、検討を始めた一つの選択肢に過ぎない
- 不安を抱えながらも、考えないままでいることをやめる段階に入った
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